2009年6月13日土曜日

我が家のブームは、ワンピース?


ワンピースを結局、全巻集めてしまったのですが、おかげでうちではちょっとしたワンピースブームです。


家族全員で最初から読み直しています。


 


しかし、改めて読み直してみると本当にすごい漫画です。


非常によく練られていて、設定なども良くできています。


そして、その活かし方がうまく、伏線があちこちに生き生きと張られています。


 


あ、こっから以下は、単行本を読んでいない人にはネタバレかもしれません。


ちなみに私は雑誌をリアルタイムでは読んでいないので、そっちの内容は逆に知りません。



 


さて。ワンピースの伏線の話。


そこらの普通の作品だと、伏線は物語全体のナゾの(全体の起承転結の転にあたる)大きな伏線と、直後のイベントに対する細かい伏線程度しかありません。


それに対して、ワンピースには非常に多くの中ぐらいの伏線があるのです。


たとえば、A編、B編、C編、D編と話が続いていったとき、A編ではB編の伏線を張り、B編ではC編の伏線を張るように細かい伏線は、だいたいどの作品でも貼ります。


しかし、細かい伏線は浅く見えてしまい、まるでとってつけたように感じてしまいます。


せいぜい、もう少し大きくなってもA編の伏線をC編に使う程度のことでしょう。


しかし、ワンピースの構成は、A編、B編、C編でそれぞれ張った伏線をD編で使ったり、A編、C編での伏線をずっと先のG編で使用したり、それらを複合的に利用したりと、非常に中ぐらいの長さの伏線がこまめに張ってあるのです。


 


54巻までの中でも、たとえばまだ解決されていない中ぐらいの伏線はいくつもあります。


たとえば、エースとルフィの幼い頃の師匠(じいちゃんの友達)、ルフィに家族に関係ある名前の「ダダン」、黒髭や過去にロビンを助けた巨人の名前にある「D」系譜、海軍のどう考えたって技術が凄すぎる天才科学者、その他諸々......伏線としてはられているもので、未だに使いきられていない物はたくさんあります。


 


さらにおもしろいのが、表紙漫画です。


表紙では外伝的に、今まで出てきたキャラクター立ちのその後の話が語られていますが、その表紙漫画の話はしっかりと本編に結びついています。


さらにそれだけではなく、本編では語られなかったようなことがいろいろと語られたりしています。


 


たとえば、表紙漫画を読むと次のような設定が想像できてしまいます。


 



そもそも「世界貴族」というのは、月に住んでいた宇宙人(もしくは月に移住した地球人)の末裔である。


900年前に月の地下都市に住んでいた宇宙人たちが、資源が枯渇したために地球に降りてきたのだ。


だから、世界貴族は宇宙服みたいなかっこをしている。


もしかしたら、空島の住人たちも末裔かなにかかもしれない。何かしらの関係はありそうだ。


だとすれば、100年空白の歴史にあったのは、宇宙人からの侵略戦争である。


伝説に残る古代兵器は、対宇宙人用の兵器だったのかもしれない。


悪魔の実も、もしかしたら宇宙人のバイオテクノロジーの産物かもしれない。


そういった科学力を引き継いでいるからこそ、海軍の学者の技術は500年は先を進んでいると言われるのかもしれない。


そう考えていくと、ワンピースとは......。


 


表紙漫画の力でここまで想像力を刺激してくれます。


 


冒険もので、SFの香りを漂わせた、テンポのいいギャグのあるファンタジー漫画のワンピース。


たまに戦闘が長すぎてうざかったり、ちょっと寄り道長すぎるみたいな部分もありますが、全体としてはかなりの構成力です。


それになんと言っても、感動や「かっこよさ」というのをこの作者はよくわかっている気がします。


とくに「かっこよく見せる」というところでは、他の追従を許さない力があります。


それはポーズ(行動)であったり、台詞であったりしますが、特にやはり秀逸なのはルフィの台詞回し。


 


たとえば、ナミ編の時の決めぜりふの一つが、「あたりまえだ!」。こんな台詞が非常にかっこよく響いています。


また、チョッパーを仲間に誘うときの台詞。


心に傷があるチョッパーをどう誘うかというシーンで、他の主人公キャラクターたちならば、きっといろいろと気の利いたことを言ったのでしょう。


たぶん、私が物語を書くにしても、同じシーンならば何か語らせてしまったと思います。


しかし、ルフィの台詞は「うるせぇ! 行こう!」です。


なにも考えていない台詞ですが、作者はきっと考えた(もしくはルフィがルフィとして動いた)台詞なのでしょう。


下手に語らすよりも、二枚目でもなんでもないルフィをかっこよく見せてくれます。


 


たぶん、ここしばらくの少年漫画では、飛び抜けた力を持つ漫画の一つだと思っています。


これからも楽しみにしています。


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