まずはおめでとうございます。
GA文庫大賞の奨励賞を取った作品です。
これは期待が高まります!!
いつもどおり、偉そうな読者様として感想を書いてみたいと思います。
内容的には、萌え系の超伝奇物になるのでしょうか?
不思議な力を持つ主人公とヒロインの出会い、それから今時のラノベに必要なハーレムを飾る女性キャラたちがでてきて、すったもんだとやりながら話は進んでいきます。
基本ラインはシリアスストーリーですが、コメディのノリで展開し、ローティーン向けの小説と言えるでしょう。
イラストなども他の作品でアニメ化された絵師さんですが......微妙に内容との間にギャップを感じます。まあ、これは読者のイメージ次第ですけど。
神道や日本刀、二丁拳銃など自分が今、書いている内容にもかぶるところもあり、どこか親近感を持って読んでしまいました。
さて。
具体的に少し書きますが、まず気がついたことは文章が読みやすいと言うことです。
基本はきちんとできている気がします。
非常に基本に忠実なラノベ文章と言えるでしょう。
だから、読みやすくスルスルと読めてしまいます。
が、私にはむしろそれが問題に感じてしまいました。
あまりにもスルスルと読めてしまい、味わいがないのです。
ライトノベルとはなにか?
これはよく討論されたり、いろいろな定義があったりします。
私の定義では、ライトノベルの「ライト」は地の文の軽さです。
ライトノベルと純文学の違いは、「地の文の重さ」だと私は思っています。
ラノベは、地の文をライトにして、設定やキャラクター、台詞などをアニメや漫画のように「動き」で見せていき、そこに魅力を詰めこみます。地の文は、描写とともに動きを加速する物です。
逆に純文学は、地の文の表現や技術に重きを置き、そこからキャラクターやストーリーを見せていきます。そのため、地の文の容量は増え、そこで使われる文はテクニカルなものになるでしょう。面白みの中心は、地の文の中にこそあります。
ですから、それは「ここからここまでがラノベ」というようなデジタルな判断はできず、アナログ的に「ラノベより」みたいな考え方になるのだと考えています。
話はもどりますが、この小説の文章はあまりにも忠実なラノベ文章です。
話を進めるだけに存在しているように感じてしまいます。
よく言えば冗長性がなく優等生的な文章なのですが、別の言い方をすると独自の表現がないとも言えます。
なんというか、これが「むらさきゆきやの文章だ」という色が感じられません。
今時のラノベを越えた、ゼロウェイトノベル(と私は呼んでいますが)ならば文章魅力はないに等しいのでどうでもいいのです。
しかし、こうもラノベらしいラノベだと、色が出ないのが逆に気になります。
極端なことを言えば、喩え読みにくくなったとしても、もう少し「むらさき色」をしていてもいいような気がしました。
それから、起承転結がきちんとできてはいるのですが、なぜか平坦に感じてしまいます。
これは文章表現でのリズム感が弱いためかもしれません。
一番気になるのは、アクションシーンでもとくにスピード感などを感じられないことでしょうか。
激しいシーンになるとページをめくる速度ががどんどん進んだり、ゆったりとしたシーンではゆっくりとページをめくる......ラノベにはこういう要素も必要な気がするのですが、この話はいつも同じテンポで進んでいました(唯一、よりの夢の部分はテンポが違う)。
まあ、こういう効果を出すか出さないかも、作者の味なので一概には言えませんけどね......。
どちらにしてもデビューされたのはうらやましいかぎりです。
むらさき先生のあとになんとか続きたいと思います!
追記
主人公に感情移入はできたけど、生徒会長のキャラクターはしっくりしなかったなぁ。あのキャラだけ中身がない、わざとらしいキャラクターに感じてしまいました。
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